機動戦士ガンダム
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第6回 どうまとめた? 劇場版『機動戦士ガンダム II 哀 戦士編』(その2)

  引き続き劇場版2作目『機動戦士ガンダム II 哀 戦士編』のまとめ方について述べていこう。

(4)オデッサ作戦の準備動作
 ランバ・ラルが白兵戦を決意するのと平行し、オデッサ作戦のための配備が進行する。キシリアの差し金でドムが「黒い三連星」ごとマ・クベに届く場面、マチルダがレビル将軍からガンダムの強化メカ(コア・ブースター)の搬送を拝命するシーン(第23話)が前倒しでインサートされ、一部新作となったことで印象を新たにしている。

(5)ランバ・ラル部隊の白兵戦
 第20話を中心にまとめているが、この回はTV版でもセイラとランバ・ラル、その幼少時や前後のアムロなど重要な部分に安彦良和が作画監督修正を入れているので、スムーズにつながっている。アムロが兵士と直接対決する場面でブライトが敵を射殺するなど、TV放送では難しい戦場の過酷さを示す表現も新作で追加されている。

(6)オデッサ作戦開始
 第25話のオデッサ作戦開始から逆順で第24話のガンダムパワーアップに続く。劇場用の新メカ、コア・ブースターが新作なのはもちろん、セイラとマチルダ中心に作画が刷新され、印象がだいぶ変わっている。黒い三連星の襲撃も大作戦の一部と位置づけられ、マチルダの死の瞬間をアムロが幻視するなど、ニュータイプ描写も前倒しで登場。セイラの援護もあって、三連星は同時に敗退してしまう。

(7)ハモンの急襲
 マチルダの死に呆然とするアムロ。新作に第24話の放射能洗浄室の回想が入り、さらにハモンの接近を予知するという驚きの編集で、一気に第21話のハモンのマゼラ・トップ特攻シーンへ移行する。リュウの決死の突入で阻止されるところは同じだが、その瞬間にニュータイプのスパークが走り、マチルダの顔がそこにインサートされるなど、劇場版で初めて登場するビジュアルが衝撃的。

(8)オデッサ作戦終結
 鉱山を放棄するマ・クベの捨てゼリフ、ハヤトとアムロの衝突、荒野に散乱した戦禍の爪あとなどを新作したうえで、第24話のマチルダ哀悼シーンをオデッサ作戦全体への哀悼として使い、締めくくりとしている。

(9)ベルファスト基地の攻防
 ベルファスト基地へホワイトベースが寄港し、レビル将軍から説明を受ける一方、復活したシャアの送りこんだゴッグが襲撃する第26話とカイがホワイトベースから降りてしまう第27話のシークエンスを入れ子にしながら1本にまとめている。ゴッグは上陸前にコア・ブースターに破壊され、代わりに第27話のカラハがズゴックで急襲するシークエンスを中心にしている。
ここではミハルの密航を際だたせるために、ガンダムが修理中でなかなか出撃できないというサスペンスを強化し、戦闘自体も簡素化している。

(10)ミハル、大西洋に散る
 レビルの命令どおり南米に向かうホワイトベース。第28話をベースに密航したミハルとカイの一部が新作に置き換えられているが、この回にもTV版ですでに安彦良和の作画修正が多く入っているので、そこは活かされている。映画全体のガンダム出撃場面を減らしてドラマ部を際だたせるため、グラブロはガンダムとは戦わず、コア・ブースターに撃破されてしまう。慚愧の念に囚われるカイは新作。

(11)南米ジャブローへの到達
 ついに初期からの目的地であった南米・地球連邦軍本部ジャブローに到達したホワイトベース。しかし、シャアのマッドアングラー隊が追尾していた。第28話のモルフォ蝶など美しい自然のビジュアルはTVシリーズのまま引き継いでいる。身体検査もレビル将軍に明確に「ニュータイプの検査」と言われてはいるが、お役所仕事的で真偽が定かでないとされている。

(12)シャアの潜入作戦
 第28話のゾッグによるジャブローの位置特定の結果、第29話のシャア専用ズゴックとアッガイ部隊が潜入に成功するという具合に2つのエピソードをリミックスし、ジオン軍のジャブロー攻防戦が展開するという構成をとっている。カツ、レツ、キッカの活躍で爆弾を取り外したことをきっかけに、ガウ攻撃空母からミサイルが一斉射撃され、本作の主題歌である井上大輔の『哀 戦士』の激しいリズムがインサートされ始める。

(13)ジオン軍の降下部隊
 シャアとセイラの再会(第29話)を経て、攻防戦は総力戦に近くなっていく。ジオン降下部隊は第28話の映像を新作で強化している。特に「降りられるのかよ!」というジオン兵の絶叫が『哀 戦士』の歌唱に重なって強い印象を残すが、実はTV版第28話ではシャア専用ズゴックの降下シーン。劇場版ではこのときシャアは地底にいるからだ。このブロックではジャイアント・バズを持つグフなど珍しい装備も見ることができる。

(13)シャアとアムロの再戦
 アッガイ部隊の壊滅を見たシャア(第29話)は地底で猛攻を開始。ガンダムの生産タイプGM(ジム)を目がけて必殺のクローを放つ(第28話)と、逆順につないでシャア専用ズゴックの戦闘力と、赤いMSを発見したアムロの衝撃を強化している。宿命のライバル、シャアとアムロ。二人の激戦は第28話を中心に第29話を交え、ニュータイプのスパークや地底洞窟を破壊するカットなどを新作で補強している。岩石がガンダムの頭部を直撃するユーモラスな描写も追加されていることもあって、印象を刷新している。

(14)エンディングは宇宙(そら)へ……
 第29話の子どもたちの決着に囮部隊の決定が重なり、悲喜こもごもの中、エンディング曲(インストゥルメンタル)がスタート。第30話の飛翔するフラミンゴの中、ジャブローを発進するホワイトベース。そしてザンジバルに乗ったシャアの追撃と、クレジット部分の時間も無駄にせず、物語が続いていく。兄シャアのことで憂鬱なセイラ、新たに参加したスレッガー中尉と新作を交えながら、宇宙空間にララァの呼び声が重なり、第3部への期待を盛りあげつつ映画は終わる。

 
(文中:一部敬称略)



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